FEATURE

INTERVIEW IN THE ART SHOP
with KENTA KAWARA
VOU director

VOU 川良謙太
「バックグラウンドには京都のアートシーンがある」

ストリート・ワイズ、いやストリート・ユーモアを売る趣味の店だと言ってみたい。もしくは頓知の効いたバラエティショップとか。ともかく雑貨店、の一言で片付けられない。ショップでブランドでギャラリーの「VOU」。
京都は四条烏丸・悪王子町の町家から、老舗ライブハウス「磔磔」横のビルに移転して半年になる。ここには、ちょっと店の片隅でイラストレーターの個展を、とは訳が違うビッグスケールのギャラリーも。「VOU」は京都のアートシーンにどんな角度で関わっているのだろう。


ーー2019年10月に移転してから大きな変化はありました?

商品のラインナップ自体はそんなに変化はないんですけど、1Fのスペースでは美術っぽいことをやろう、と。2Fはショップで、3Fはイラストレーターの展示やブランドのポップアップイベントを行ったり。

ーーギャラリーも吹き抜けでいろんな可能性を秘めていますね。

そうですね。町家だった時とは違ってスペースが広くなった分、いろいろ企画を盛り込めるようになったところが大きな違いですね。

ーー以前、ショップは“好きな雑貨が置いてある誰かの家っぽい空間”をイメージしているとおっしゃってましたよね。

その考えは今も変わってないんですけど、今はビル(笑)になったので、どんな世界観で店をディスプレイしていくか?はまだ試行錯誤中ですね。

ーー器もあるけれど生活雑貨店じゃない、ってこともない。アパレルもあるけれど服屋じゃない、ってこともない。ともかく既存のジャンルではカテゴライズしにくい。そこは引き続き、ですね。

そうですね。なんのお店ですか?って聞かれることはよくありますね。

ーーなんて答えますか?

答えられなくて…答えません(笑)


ーーざっくりとアートショップ?

そうですね。アート的な目線で商品を選んでいるところもありますしね。でも、いわゆる高いアート作品を販売しているギャラリー、って思われるのも違うし。

ーーおみやげ屋さん?

その要素もありますし。難しいですね。例えば、男性が女性にプレゼントするためのアクセサリーが買える店、を目指したいところもあるんですけどね。まだその流れは作れてないですね。

ーーそれにしても、オリジナルのキャップなんかは「VOU」のロゴがどんどん変化しています。屋号のデザインを固定させないところが面白いですね。

まぁ、好きなんですね。漢字の「棒」は毎年ひとつずつ出していって。エアジョーダンみたいに(笑)出せていけたら。英語の「VOU」は気まぐれ、ですね。

ーー「棒」ってギリギリ読めないデザインもありますが、流れで見ると「棒」に見えてくる不思議。デザイナーの三重野龍さんのグラフィック作品ですね。

そうですね。キャップや靴下など、いつも自分が作ってみたいものを三重野くんに相談して。

ーーギャラリーでの展示では作品と商品とリンクしていたり、していなかったり。このショップ内での展覧会をどう捉えています?  現代美術のフィールドで活動する作家の展覧会も予定されています。

もともとやりたかったこともあったんです。いわゆる美術の展示もすごく好きなので。それをもっとやってみたかったから移転したというのもありますね。

ーーこのスペースだと、いわゆる現代美術には見えないムードに新しいポテンシャルを感じます。でもショップとしてどう売るのか?を考えないといけないリアルもあります?

インスタレーションの展示だったり、作品として売りにくいものをどうパッケージするか?ということを考えなくちゃならないんですけど。ギャラリーはギャラリーでどうお金を生み出すか? 成立されるか? ということはその都度考えていますね。



ーー展示されるアーティストは京都の方に限っているわけではないですよね?

現状は結果的に京都、関西の方が多くなっていますが、これから予定している東京のアーティストだったり。あんまり京都は意識していないですね。

ーー京都のアートシーンにはどんな印象があります?

アーティストの数が多いですね。北海道や名古屋、福岡とかいろいろ行きましたけど、京都は圧倒的に多い。東京はもちろん多いですけど、京都は人口に対して圧倒的ですよね。

ーーなるほど。

美術家も多いですけど、グラフィックデザイナーなどを含めてクリエイターも多いし、活躍している人も多い。伝統工芸の世界もあるし、ものづくりや表現に関わっている人がたくさんいますよね。そういう街ではあると思う反面、アウトプットする環境がそこまでない。

ーーそう考えると、このスペースは重要ですね。ロケーションだけでなく、美大やその界隈以外の人の目に晒される可能性が高い、という点で。

そうですね。この場所がそんな存在になりたいという思いはあって。アーティストの受け皿になりたいし。

ーーそれは京都にアウトプットできる環境が少ないから、という以外に理由はあります?

今、感じているのは自分たちの世代は、少しずつ美大のいろんなコミュニティが分断されているムードがあって。そんな横のつながりがこれからの京都のシーンを面白くさせていく可能性は感じてますね。

ーー今の文脈の中で「VOU」しかできないことがある、と。

「VOU」は店でありブランドでもあるんですけど、そのバックグラウンドには京都のアートシーンがあるので、その関係をギャラリーとショップで感じてもらえたら嬉しいですね。「VOU」は専門的な美術館やギャラリーではないけど、若い才能をどんどんプッシュしていくべきだと考えていて。もちろん作品をめっちゃ売りたいし商売的には大切ですけど、ここからいろんな人たちをサポートしていくことが一番大事というか。

ーーそう考えるのはなぜでしょう?

店という形態ではあるけど、アートに関しては売れるか売れないか、だけが作品の価値基準じゃない、とあらためて考えて、ですね。

ーー作品のアウトプットが、アートの文脈で、だけというのもつまらない。

ここでしかできないこともきっとあるだろうし「VOU」に来るお客さんに紹介できるような作品を展示していきたいですね。



川良謙太 KENTA KAWARA
ショップ&ギャラリー「VOU」店主。2015年5月、四条烏丸の路地裏の町家でオープン。2019年10月に現在の「棒ビル」へ移転。1987年生まれ。京都出身。

VOU
京都市下京区筋屋町137
Tel:075-744-6942
13:00~19:00
水・木曜休
http://voukyoto.com

写真 中村寛史
https://nakamurahiroshi.net

※このインタビューは2020年4月に雑誌『カジカジ』京都アート特集の際に行ったものです。9月に終了した『カジカジonline』の許可を得て掲載しています。