FEATURE

INTERVIEW with ANI
at the gallery

Artist/Rapper

アーティスト/ラッパー ANI
「ただ意味の無いことをしたい。ピュアに」



現在、スチャダラパーのANIが大阪で謎の個展を開催中。というのも作品のポイントは鉄仮面。これはいったい? 知る人ぞ知るアニソロの狂気? そういえば、かのDEV LARGE氏もANIが最もイルだと言っていたような。これはANIのストップ・メイキン・センス。だからこそ記憶に残るものがある。ひそかに独走するANIさんにインタビュー。

ANI solo exhibition 2026ANI展〜浪花篇〜
2026年5月16日(土)〜5月31日(日) 水・木曜休廊

POL (大阪市中央区谷町6-18-29 2F)



ーー鉄仮面といえば『スケバン刑事』(1985年から放送された学園ドラマ)? または仮面のラッパーMF DOOMとか?

ああ、いるね。

ーー『スケバン刑事』の方ですか?

そう。ちょっと前にサブスクで『スケバン刑事』を観直してたんだけど、やっぱり面白くて。小さい頃から鉄仮面を被らされてる回想シーンがスゴ過ぎて。

ーー『スケバン刑事』って独特の不穏なムードがありますよね。

そうだね。

ーー本放送を観られていたのは高校生くらいです?

高校生の頃。最初のシリーズの斉藤由貴の時が一番面白くて。特命刑事として高校に潜入してワルを懲らしめる話。でも途中からは日本を牛耳る悪に対して、とかどんどんデカい話になっていくんだけど。

ーーでも、なぜ鉄仮面? コロナのマスク以降の発想とか?

いや、鉄仮面って面白いな、ってくらいのアイデアで。

ーーコラージュで作り始めたきっかけは結婚を機に断捨離をしないと、というところからですよね。発表を前提としない趣味として?

そう。最初は。

ーーいつ作られていたんですか?

平日。平日の昼間。

ーー例えば、歌詞が書けない時などに?

そう。素材も山ほどあるからね。ポストに入ってる選挙のチラシとかも。最初は週刊誌とかのグラビアでやってたんだけど、紙があんまりよくない。水糊を使ってるから、綺麗に貼れなかったり。

ーー紙が薄くて。

だからブックオフで写真集を買ってきて。安いのを。それを探すのもまた楽しくて。ちなみに写真は(女性が)全身写ってるのがいい。

ーーなぜです?

うーん、なんでだろ。

 

ーー今回の個展、作品のベースはAIで生成された女性の画像となっています。

もうエロ本自体もあんまり無いからね。

ーーそれでAIに?

そう。

ーー当初は鉄仮面のシールも手作り(その作品のブックも本展で閲覧できる)でしたが、今回の作品はデザインされて印刷されたもの。それに、コラージュならではの再構成ではなくアイコラ的というか、手で切り貼りするデコボコ感も無くなっています。

そこ(手作り感)を見せたいわけじゃなくて。最初は、自分で手で描いた絵(女性)の顔に、自分で作った鉄仮面のシールを貼ってたけど、絵に自分の線が出てしまうのは、どうなんだろ?って。それでAIで(理想の女性と背景は)作れるかな、というのがあって。

ーー鉄仮面のシールを自分で手作りする、と。何がそこまで?

時間があったから? やっぱり鉄仮面って面白いな、ってくらいで。

ーーAIで生成された女性たちは全部ヘソ出しのスタイルですね。

K-POPの影響(笑)。ヘソ出し、流行ってるし。今っぽい感じを出したいなと。

ーーANIさん的にどんなプロンプトでAI画像を生成されましたか?

セイラー、バギーパンツ、ハイヒール、手にラジカセ。場所は工業地帯、かな。

ーー工業地帯は川崎のご出身ということも関係してます?

なんだろ。これもただ好きなんだと思う。

ーーできるなら、AIではなく、実際にモデルの方を工業地帯で撮影したい?

そういうわけでもないかな。2、3年前にAIで画像を作れるってことを知って。でも周りではぜんぜん使ってなかったし自分でやり方を調べてみて。最初は(プロンプトは)英語だったんだけど、今は簡単。

 
ーー作品中の“ANI”のロゴはスタンプで?

一枚一枚、シルク(スクリーン)で刷ってる。知り合いに、直接手を使った部分を入れた方がいいよ、ってアドバイスされたこともあって。

ーーステイトメントには“でもやるんだよ”(©根本敬)、“そこがいいんじゃない”(©みうらじゅん)に影響を受けた精神が反映、とあります。ANIさんがゆずれない、こだわりを言葉にするなら?

なんだろ。ただ意味の無いことをしたい、ってのはありますね。何か意味があるのか?って聞かれたら特に無いし。そういうことになる。意味の無いことをしたい。

ーーなにかと意味を求められる時代だからこそ?

そう。ただ好きでやってるだけ。

ーー思うままの結果で、ある種ピュアな創作?

ピュアに、ですよ。


ーー最終的な野望としては実際の顔サイズの鉄仮面を作ったり?

作りたいね。

ーー例えば、スチャダラパーのステージに鉄仮面で登場したり? そうなると、もういよいよ、なのかも知れませんが。

やってみたいけど、鉄仮面が割れて出てくるのが自分だもんな。わっ、かわいい!とはならないでしょ。(『スケバン刑事』では)割れても出てくるのが南野陽子だから。それがいい。

ーー今後の展望は? もっと個展を開催していく気持ちも?

展示はしたいですよ。もし企画したい、って人がいたら行きますよ。

ーこのところ写真の撮影は? 2009年には写真集『ブリングザノイズ』を出版されています。

ケータイで撮ってはいるけど。

ーー各地の公園のタコの遊具をインスタに。

実はけっこうある。

ーーそういえば、最近のスタンプ活動は? 駅やスーパーなどのスタンプラリー活動。

今はもう本気ではやってない。

ーー本気の時は?

本気の時は地図見て、1日券買って、今日は横浜くらいまで行かないと!みたいな時もあったり。駅に着いてスタンプ押して、すぐ次の電車に乗らないと間に合わない!みたいな。

ーー忙しいですね。

そんな時に限って、前の人がモタモタとスタンプ押してたりね。終わったと思ったら2冊目出してきたり。もう早くしてくれ!って(笑)

ーースタンプラリーはまるで四国のお遍路のような?

いや、あれはご利益あるけど、むしろご利益がないからいい。達成したからと言って、なんにもない。そこがいい。

ーー意味がない?

そう。なんにも意味ない。それがいいとこ。



2026年5月17日、大阪・松屋町のPOLにて。





ANI solo exhibition 2026ANI展〜浪花篇〜
presented by Pulp
2026年5月16日(土)〜5月31日(日)
月火金 13:00-18:00 ※水・木曜休廊
土日 12:00-19:00
at POL (大阪市中央区谷町6-18-29 2F)

https://pol2020.jp/2026ani/


PHOTO 中村寛史